公式/沖縄県那覇市で保育士・小学校・特別支援学校の免許資格を取得できる専門学校(昼・夜間コース) – 障がい理解の哲学

障がい理解の哲学

2019/03/08(金)

育英義塾教員養成学院では、明星大学通信教育部との教育業務提携で特別支援学校教諭1種免許状を取得することができます。

今回は、特別支援学校教諭免許状を取得希望の皆さんに、その道の専門家である大沼直樹先生の障がい児教育への思いをご紹介したいと思います。

「障害理解の哲学 学習指導要領に明記を」 大沼直樹

 われわれの歴史を振り返ると、貧困故に生活するのに精いっぱいで、障害のある人はいわば社会から見捨てられるなど悲惨な時代があった。しかし、20世紀半ばから提唱されてきた世界の人権指導の流れの中で、世界保健機関(WHO)の「障害者の権利条約」により障害観が一変した。
 つまり、障害を個人の病理的状態と把握する障害観「医療モデル」から、障害のある人の社会参加を妨げる社会的障壁の存在に着目する障害観「社会モデル」へと転換がなされたのである。障害を作り出す社会的障壁とは、事物、制度、慣行、観念、情報などを指す。
 文科省と厚労省は、障害すなわち障壁を除去することを課題として、2014年に互いの違いを認め合うという「共生社会の実現」に向けスタートした。
 同じ年に「沖縄県障がいのある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」が施行され、共生社会に向けて県も動き始めた。
 しかし、現状に目を向けると、昨年の7月に19人が犠牲となった相模原の障害者施設殺傷事件は大きな衝撃を与えた。ネットの世界では、重度の障害のある人に対して「役に立たない」「社会生活に適応しない」などと差別的発言、ヘイト発言は後を絶たない。
 経済格差による貧困層の若者などによる社会のひずみは、障害のない人から寛容さを奪い、社会への不満は弱き者、障害のある人らに向けられる。おそらく「共生」という理念する知らないヘイトなど排外主義的傾向の発言がネットの空間にあふれ、筆者は非常に危機感を覚える。
 真の共生社会を目指すことは、障害のない人にとっても暮らしやすい社会であり、大学で障害児教育を教えていた者として、この風潮は決して看過できない。教育活動すなわち障害児への関わり方と、社会環境の整備つまり障害理解という観点から提案する。
 重度・重複障害児(発達段階が1歳前後に停滞している)は、軽度や中等度の障害のある人のように、主として世界を認識することが困難である。そのため、「生きるとはどういうことなのか」という根源的な問いをわれわれに突きつける。
 われわれの思い込みによる善意で一方的に指導するとパニックや二次障害を引き起こしかねない。彼らの「居場所」を保障し尊厳を守ることである。障害理解の哲学は、「生命、人類は多様な遺伝子によって維持されてきた」という現代の生命科学の知見に支えられている。すなわち、障害は多様性の一つという哲学を学習指導要領に明記し、社会全体への共通言語に浸透させてほしいと切に願う。
(琉球新報 2017年10月7日掲載)

「3人の感想に感動」  大沼直樹

 県立やなせ高等特別支援学校は、2016年に南部商業高等学校に併設された。インクルーシブ教育システムを積極的に実践するなどの理念を掲げ、互いに個性を尊重し、協力し合う学校としての併設だ。
 学校評議員の私は時々、両校の先生方の創意工夫に満ちた支援、生徒の授業の主体的な活動を見てきた。それだけに第27回おきなわマラソンで、支援学校の3人がフルマラソンに初挑戦し完走したという本紙の記事に感動を覚えた。
 18日付の記事によると、1年制の長嶺歩さんは「もっと上を目指して頑張りたい」と話していた。涙ながらにゴールした新城拓真さんは「練習通り走れたうれしい」と述べていた。川上大喜さんは「何とか完走したい一心」で走り切ったとあった。これからもマラソンで培った自信と忍耐力を武器に、新たな夢に挑むという。
 新城さんと川上さんは、やなせ高等支援学校の第1回卒業生となる。陰ながら応援していきたい。
(琉球新報 2019年2月24日)南部商業高校・やえせ特別支援学校評議員

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